後遺障害の解説

頚椎捻挫・腰椎捻挫の神経学的検査とは

 

<頚椎捻挫に関する神経学的検査>


①  スパーリングテスト
 

頭部を患側に傾斜・後屈して圧迫します。圧迫を加えると、椎間孔が狭められるので、そこを通る神経根に障害がある場合、その神経根の支配領域に疼痛・しびれが生じます。
疼痛・しびれが生じた場合は+(陽性)、生じなかった場合は-(陰性)と記載します。
 

②ジャクソンテスト
 

頭部を後屈して圧迫します。神経根に障害がある場合、その神経根の支配領域に疼痛・しびれが生じます。
疼痛・しびれが生じた場合は+(陽性)、生じなかった場合は-(陰性)と記載します。
 

②  握力
 

極端に握力が弱っていたり、利き手の握力が利き手ではない方より弱っていたりした場合は、異常がある可能性があります。
 

③  徒手筋力テスト(MMT)
 

神経に障害がある場合、その神経が支配している筋の筋力が低下します。三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、手関節伸展筋、小指外転筋等の筋力を次の6段階で判定します。
 

5 強い抵抗下で重力に対して可動域内を完全に動かせる
4 かなりの抵抗下で重力に対して可動域内を完全に動かせる
3 重力に対して可動域内を完全に動かせる
2 重力を除くと可動域内を完全に動かせる
1 筋肉の収縮のみで関越の動きはない
0 筋肉の収縮なし
 

神経の障害の部位によって、筋力低下が認められる部位が異なります。
 

C5の場合→三角筋、上腕二頭筋
C6の場合→腕橈骨筋、手根伸筋(橈側)
C7の場合→上腕三頭筋、手根伸筋(尺側)、手根屈筋(橈側)
C8の場合→手根屈筋(尺側)
 

④  萎縮検査
 

しびれや麻痺が長く続くと、筋は萎縮してきます。上腕部と前腕部の周径を測定します。
 

⑤  知覚検査
 

筆を使用して検査します。神経に障害があると、知覚鈍麻や消失などの異常がみられます。
 

⑥  腱反射


腱をゴムハンマーで叩いて刺激を与えた時に起こる筋収縮のことです。
脊髄に異常がある場合、反射は亢進(+++)、軽度亢進(++)を示します。
末梢神経である神経根に異常がある場合は、低下(±、-)を示します。
 


⑦ 病的反射
 

健常者には出現しない反射です。脊髄の障害があるとき出現します。
ホフマン反射、トレムナー反射、ワルテンベルク徴候、バビンスキー徴候等があります。
 

 

<腰椎捻挫に関する神経学的検査>

①ラセーグテスト
 

坐骨神経伸展テストのことです。患者を仰向けにし、股関節と膝関節を90度に屈曲させ、検者が膝を少しづつ伸展させます。椎間板ヘルニア等、坐骨神経(L4、5及び仙髄神経のS1、2、3)に障害がある場合、疼痛が生じます。
 

②SLRテスト
 

下肢伸展挙上テストのことで、ラセーグテストに同じく坐骨神経の障害を検査します。
患者を仰向けにし、下肢を伸展拳上させて、床面からどの程度上がるかによって判断します。正常であれば70度以上を示しますが、坐骨神経に障害がある場合は、大腿・下腿の後面に痛みが生じ50度を超えて上がりません。腰椎椎間板ヘルニアの場合、30度も上がらない場合もあります。
 

③FNSテスト
 

大腿神経伸長テストのことで、腰髄神経(L2、3、4) の神経根障害を調べる検査です。患者をうつ伏せにし、膝を90度に屈曲させ股関節を伸展するように持ち上げます。椎間板ヘルニア等、腰髄神経に障害がある場合、痛むが生じます。
 

④徒手筋力テスト(MMT)
 

神経に障害がある場合、その神経が支配している筋の筋力が低下します。腸腰筋・大腿四頭筋・膝関節屈筋群・下腿三頭筋・長母趾伸筋・前脛骨筋の筋力を次の6段階で判定します。
 

5 強い抵抗下で重力に対して可動域内を完全に動かせる
4 かなりの抵抗下で重力に対して可動域内を完全に動かせる
3 重力に対して可動域内を完全に動かせる
2 重力を除くと可動域内を完全に動かせる
1 筋肉の収縮のみで関越の動きはない
0 筋肉の収縮なし
 

⑤腱反射
 

アキレス腱反射と膝蓋腱反射を調べます。
膝蓋腱反射は、腰髄神経腰髄神経(L2、3、4) の損傷を判断することができます。
アキレス腱反射は、仙髄神経(S1、2) の損傷を判断します。
 

⑥病的反射
 

健常者には出現しない反射です。脊髄の障害があるとき出現します。
バビンスキー反射、膝クローヌス、足クローヌス等があります。
 

⑦知覚検査
 

筆を使用して検査します。神経に障害があると、知覚鈍麻や消失などの異常がみられます。
 

⑦筋萎縮検査、
しびれや麻痺が長く続くと、筋は萎縮してきます。大腿周径と下腿周径を測定します。
 

⑧バレーサイン
 

臀部で坐骨神経を圧迫し、圧痛又は放散痛の有無を確認する検査です。